ゼルダの伝説 ムジュラの仮面がおすすめな理由

 わたしが遊んだゲームを、独断と偏見に基づいてご紹介する感想記事です。
 本記事では「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」をご紹介します。

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面とは?

 任天堂の誇るアクションRPG、ゼルダの伝説シリーズの中でも異色の作品です。
 3日後に滅びるふしぎな異世界「タルミナ」の中で、時間を何度も巻き戻しながら敵の手に落ちた神殿を攻略し、滅亡を食い止めるゲームです。
 ニンテンドー64版とリメイクの3DS版がありますが、本記事では64版についてお話します。なお、64版はニンテンドースイッチのNINTENDO 64 Nintendo Switch Onlineで遊べるので、2025年現在であればスイッチでプレイするのが一番手を出しやすいかと思います。




魅力1. 少し影があり癖になる独特の世界と人々

 ムジュラの仮面、いわゆる王道を外れたゲームです。
 ゼルダの伝説シリーズといえば、任天堂の誇る代表的なゲームであり、マリオやカービィと同様に任天堂の屋台骨であり、王道中の王道をいくゲーム……と思われるかもしれませんが、ムジュラの仮面についてはそうでもありません。
 まぁ「任天堂の代表作は王道をいく」というよりも、「任天堂の代表作が王道を規定する」と言う方が正しいかもしれませんけどね。

 ただ、ムジュラの仮面についてはそれを踏まえてなお王道と言いづらいというか、要はシリーズの中でも異色作なのです。
 冒険の拠点「クロックタウン」は大きな時計塔のある街で、そこでは「刻のカーニバル」という大きなお祭りが3日後に控えています。しかし、空には太陽よりもはるかに大きく見える不気味な顔の月が浮かんでおり、日に日に大きくなっています。街では、月が落ちてくるという噂が絶えません。
 ……という感じです。
 まぁ、世界を滅ぼしたり支配したりしようとする悪をリンクが挫く、という点では共通しているのですが、味付けが特殊であり、独特の影のある雰囲気のとりこになれるゲームだと思います。

 刻のカーニバルでは仮面をつけるならわしとなっており、ゲームの中でも頻繁にお面や仮面が登場します。
 民家の壁にも不気味な仮面が飾られていたりして、異様な雰囲気があります。
 お面や仮面はゲームシステムにも深く関与しており、お面をかぶると足が速くなったり敵に見つからなくなったりとそれぞれ特殊な効果があるほか、特定種族の仮面については魂が込められており、リンクがかぶることでそのキャラクターへと変身することができます。
 変身すると敵との戦い方が変わるほか、街の人々の反応も変わります。リンクに対して偉そうにしているおじさんが、巨体のゴロン族に変身すると途端にへつらってきたり、リンクに対して有効的な町の犬が、小さなデクナッツ族に変身するとうなりながら飛びかかってきたりします。

 同じキャラクターでもこちらの姿かたちによって反応が変わるというのは、考えてみれば当たり前ですが、多くのゲームでそうはなっていない要素だったりします。仕様として面倒でしょうからね。
 ただ、ムジュラの仮面においては「繰り返す3日間」という限られた時間の中に細かい差分がたくさん用意されており、街の人々がそこに確かに生きているかのようなリアリティが存在しています。




魅力2. 数々のサブイベント

 ムジュラの仮面にはたくさんのサブイベントがあります。
 街の人々がリアリティをもって描かれるゲームですが、そんな街の人々との交流の中で多様なサブイベントが用意されており、ひょっとしたら本編よりこちらがメインなのでは?と錯覚するくらいです。

 サブイベントの進行度合いによって街の人々の行動が変わってくる、というのも面白いところです。
 たとえば、ある宿屋の娘は、放っておくと月が落ちてくることを恐れて3日目には郊外にある友人の経営する牧場へと避難するんですが、実は彼女は失踪した婚約者の青年を探しており、イベントを進めて青年との再会が現実的になってくると、彼女は3日目にも街の中にいて、婚約者を待ち続けます。

 こういったイベント差分が3日分細かく用意されており、街の人々が「ゲームのヒントや設定を喋るだけではない、その世界に生きている人々である」ことをより強調しています。
 ムジュラの仮面が発売されたのは2000年であり、当時から25年以上が経過した現在、ゲームのグラフィックは比較にならないほど進歩していますが、グラフィックが10倍20倍になったからといって、ゲーム内のモブキャラの喋る量が10倍20倍になるわけではないのですよね。
 そういう意味で、ムジュラの仮面ほど街の人の背景が掘り下げられているゲームは最新のゲームでもそうそうなく、ニンテンドースイッチやPS5のゲームと比較しても見劣りしない要素だと思います。



人を選ぶ点1. 高難易度のダンジョン

 ムジュラの仮面は、時系列的に時のオカリナの続きではあるものの、時のオカリナを遊んでいなくてもプレイ体験に支障はない、というのは冒頭で述べた通りです。
 しかし、1つ留意すべき点があり、それはダンジョン攻略の難易度です。

 ムジュラの仮面というゲーム、時のオカリナをクリアした人を想定して作られている部分があり、ゆえにダンジョンの謎解きの難しさや長さについても最初からフルスロットルです。オマケに、そんな高難易度ダンジョンをゲーム内の3日間という時間制限の中でクリアしなければなりません。
 わたしはシリーズ初プレイがムジュラの仮面だったので、「このゲームってこんな難しいの!?」とびっくりした覚えがあります。その後に遊んだ時のオカリナは易しくて拍子抜けしてしまいました。

 ダンジョンの難易度の象徴的なエピソードの1つが、火を使った謎解きです。
 時のオカリナでは、最初のダンジョンでは拾った木の棒を使って、かがり火から火を移し、行く手を阻むクモの巣に着火して燃やす……という仕掛けがあります。シンプルで分かりやすい謎解きです。
 しかし、ムジュラの仮面の最初のダンジョンには、遠くにある火の消えた燭台に対して、かがり火越しに木の矢を撃つことで着火する、という「応用編」みたいな謎解きがあります。

 この「かがり火越しに矢を放って着火する」謎解き、時のオカリナでは4つ目のダンジョンで初登場するうえに、ディンの炎という別解も用意されています。
 時のオカリナで4つ目のダンジョンに出てくる応用の謎解きが、ムジュラの仮面では1つ目のダンジョンで出てくるというのは、まさにムジュラの仮面の謎解きの難しさを象徴するエピソードかと思います。
 ただ、「かがり火越しに矢を放って遠くの燭台に着火する」というのは、言われてみれば別にそんな難しいことではないですよね。謎解きがすごく苦手という方にとっては辛いかもしれませんが、そうでない方なら詰むまではいかないでしょうし、謎解きが好きな方には歯ごたえがあっていいゲームかな、とも思います。

 ただ、ムジュラの仮面の2つ目以降のダンジョンは輪をかけて難しいため、詰むリスクも十分あります。詰んだら詰んだで攻略サイトあたりを見るのが早くてストレスフリーかなと思いますね。




人を選ぶ点2. ちょっぴりホラーな雰囲気

 「あなたはまだ、月の怖さを知らない」というフレーズで有名な当時のCMが象徴的ですが、ムジュラの仮面は少しホラーなゲームです。
 別に「ダンジョンがお化け屋敷」「敵がゾンビやゴーストばかり」みたいなホラー要素のフルコースというわけではないので、逆にホラーゲームを遊びたくてムジュラの仮面を手にとったら肩透かしなのではないかと思うんですが、仮面や月関係がホラーテイストなのは疑いようもありません。

 ムジュラの仮面を見るだけで怖くてゲームをする気にならない、という方にはあまりおすすめできないと思いますが、あれが平気なら別にそんな怖いことはないと思います。基本的にホラーゲームではなくアクションRPGであり、そんなにホラー要素はないというのが個人的な感想です。
 ……もっとも、ゼルダの伝説シリーズは元々少しホラーっぽい要素があるというか、ドクロに足の生えた蜘蛛とか、近寄ると抱き着いてくる干からびた人型のモンスターとか、そういうのはいますので、そういうものについても全然ダメという方は見送った方がいいのかもしれません。




まとめ

・ムジュラの仮面は、独特の影のある雰囲気と個性的な人々が魅力的なゲームであり、ゼルダの伝説シリーズの中でも異色作である。

・サブイベントが充実していたり、キャラクターの台詞差分が豊富だったり、イベントの進捗状況により3日間の行動が細かく分岐したりして、街の人々がただリンクに情報やアイテムを与えるだけの存在ではなく、本当にゲームの世界に生きているかのようなリアリティがある。

・ムジュラの仮面は、時のオカリナと時系列的な繋がりはあるもののストーリー的に独立していて、時のオカリナ未経験でも楽しめる。ただ、基本的には時のオカリナ経験者を想定しているのか、ダンジョンが最初から高難易度かつ長めで時間制限もあり、シリーズ初体験だと難しく感じると思う。

・別にホラーゲームではなく、基本的にはアクションRPGなのだけれど、ホラーテイストではあるので怖いのが特に苦手な人には合わないかも。




 ……という感じです。
 わたしは、ゼルダの伝説シリーズの中でもムジュラの仮面が一番好きと言っていいくらい大好きなのですが、「今更やるのはどうなの……?」みたいに思う方もおられるかと思います。
 2000年のゲームですから、たしかに現代から見れば不親切な点もたくさんあるのですが、ムジュラの仮面以外ではなかなか味わえない魅力があるのも事実かと思いますので、気になったら遊んでみていただきたいなと思います。


 それでは、また。

タイトルとURLをコピーしました