ポケモンカードゲームは2025年1月24日をもって、Fレギュレーションのカードが使えなくなり、GHIのレギュレーションへと移行しました。
スタンダードレギュレーションの移行、いわゆる「スタン落ち」です。
さて、そんなスタン落ちによって、ポケカの勢力図はそれなりに書き換わりました。
そして、その影響で一躍力を得たポケモンがいます。
それが、ミロカロスex（きらめくウロコ）です。
本記事では、そんなミロカロスexの対策について、考えてみたいと思います。
ミロカロスexはなぜ強くなったのか？
スタン落ちで環境のカードが減っても、別にミロカロスexのワザや特性が書き換えられて強くなったわけではありません。
しかし、Fレギュレーションには強力なポケモンがたくさんいました。
ミロカロスexは特性「きらめくウロコ」によるテラスタルポケモンへの高い耐性を活かして戦うポケモンですが、Fのカードにテラスタルポケモンは存在しませんでした。
FにはレジドラゴVSTAR、オリジンディアルガVSTAR、オリジンパルキアVSTAR、アルセウスVSTAR等々、強力なVSTARポケモンがたくさんいて、FGH環境でもなお猛威を振るっていたのです。VSTARのみならず、ロストゾーン軸のデッキもまた、非テラスタルながら強力なデッキでしたね。
しかし、Fレギュレーションが落ちることで、これらテラスタルでない強力なデッキ群が環境から消えてしまいました。
もちろん、GとHの強いデッキはテラスタルだけではないのですが、テラスタルはスカーレット・バイオレットシリーズの最大の特徴であり、目玉でもありますから、テラスタルの強いポケモンが多いのもまた事実です。
ミロカロスexが苦手とする非テラスタルのデッキが大きく数を減らし、環境デッキがテラスタルのポケモンであふれかえったがために、ミロカロスexの環境の立ち位置が大きく改善されたわけですね。
要するに、ミロカロスex自体は何も変わっていないのですが、ミロカロスexの天敵が次々と退場してしまったがため、相対的に強くなったということです。
これはカードゲームでもそれ以外でもよくある現象です。
格闘ゲームで上位キャラが軒並み弱体化された結果、もともとそこそこ強かった中堅キャラの天敵がいなくなって、急に環境トップに躍り出る……とかですね。あるいは、害獣を徹底的に駆除した結果、その害獣を天敵としていた動物が急増してしまう……あたりも似たような話です。
ミロカロスexデッキの長所
ミロカロスexは、特性でテラスタルポケモンからのワザを無効化します。
これ自体は、exポケモンからのダメージを無効化するミミッキュと比べると少し範囲が狭いくらいなのですが、ミミッキュはHP70しかないので非exのサブアタッカー採用で対策可能な一方、ミロカロスexはHP270とかなり硬く、生半可なサブアタッカーでは突破できない点が強力です。
更に、「ワザのダメージ」だけではなく「ワザの効果」も無効化してしまうため、ドラパルトexのファントムダイブによるダメカンを乗せる効果も無効ですし、グレイシアexのユークレースのようなきぜつさせる効果も無効です。対テラスタルという点ではかなり堅固な防御といえます。
さらにヒプノスプラッシュの160ダメージも、非ルールのポケモンは2進化でもない限りほぼほぼ一発で倒されてしまうため、サブアタッカーの要求ラインが比較的高くなっています。
おまけに、特性を無効化するキャンセルコロンもFのカードですから、ミロカロスexを突破する手段というのは限られています。
ただ、おそらくこれから新拡張でIのカードが増えてくるに伴い、ミロカロスexを倒せる手段も増えてくるでしょう。Fのカードが落ちたばかりであり、一番使えるカードの少ない2025年1月現在が、ひょっとしたらミロカロスexが最も堅牢な時期かもしれません。
ただ、ミロカロスexはあくまでテラスタルポケモンからのダメージを無効化するだけなので、テラスタルでないポケモンが軸のデッキであればさほど苦にはなりません。
たとえば、サーナイトexはexポケモンですがテラスタルではないため、ミロカロスexの特性は関係ありません。もっとも、優秀なリファインのキルリアがいなくなってしまったので、かつてほどのパワーはなくなってしまったかもしれませんが……
あるいは、タケルライコexもまた非テラスタルのexポケモンであり、ミロカロスexのHP270を貫けるパワーも持ち合わせています。このあたりのデッキを使うなら、ミロカロスex自体は苦にならないでしょう。
ただし、ミロカロスexデッキはリキキリンexやオーガポン いしずえのめんexといった、無効化能力持ちの他のポケモンとタッグを組んで詰ませる構築が主流なため、テラスタルポケモンがメインでなければ安心というわけでもありません。
たとえばタケルライコexデッキは通例たねポケモンだけの構築になるため、リキキリンexを突破する手段が少ないです。スナノケガワやチヲハウハネでなんとかダメージを通していくほかはないかもしれません。
対策1. サブアタッカー採用
ミロカロスexデッキで詰まされてしまうのは、アタッカーのバリエーションが少ないからです。
もっとも、カードプールが一番狭い時期ではあるので、バリエーションに乏しいのも当然ではあるのですが……それでも、ミロカロスexに詰まされないアタッカーを探していくほかありません。
一例が、ガチグマ アカツキexです。
テラスタルポケモンではなく、かつ240という高いダメージを出すことができます。
まけんきハチマキやスグリで+30すればミロカロスexを一発で倒せますから、テラスタル主体のデッキでサブアタッカーとして採用価値があるといえます。ただし、たねポケモンのexなので、リキキリンexにダメージを通すことはできません。また、序盤はブラッディムーンのエネルギー要求が高いので、真価を発揮するのは中盤以降になります。
他に、オーガポン いしずえのめんexという手もあります。
ワザが相手にかかっている効果を無視するため、相手がミロカロスexだろうとリキキリンexだろうとミミッキュだろうと、問題なくぶちやぶることが出来ます。
そもそもミロカロスexデッキ自体、特性を持つポケモンを数多く採用しているため、オーガポン いしずえのめんexの特性を貫いてまともなダメージを通せるポケモンが少なく、オーガポン いしずえのめんex同士の対決になる可能性もあります。
闘エネルギー要求と3エネ要求がやや重く、ダメージも控えめですが、闘エネルギーを採用するデッキなら一考の余地があると思います。
あとは、ミロカロスexをピンポイントで見るなら雷のサブアタッカーもありかもしれません。
たとえば、テツノイバラexであれば弱点でミロカロスexを一撃ですし、カプ・コケコexは自分のベンチポケモンが4匹以上いれば2エネでミロカロスexを一撃です。エネルギー加速の強いデッキなら、テツノカイナexでごっつあんプリファイするのもありですね。足りない30ダメージを補えればなおよしでしょう。
少し変化球ですが、レントラーはサイド不利な時だけですがたねポケモンのように出せて、180ダメージと高い打点を持っていて、ミロカロスexを一撃で倒せます。リバーサルエネルギーとの併用もありですね。
ほぼほぼ雷エネルギー要求にはなってしまいますが、これらはピジョットexを倒せるポケモンでもあるため、まとめて対策する意味でも採用は考慮されると思います。
対策2. 無効化ポケモンと戦わない
ミミッキュを出して壁にしたはいいものの、ボスの指令でベンチを連続で呼び出されて負け……みたいな経験をしたことはありませんか？
ポケモンカードの最も基本的な勝利条件は「サイドを6枚取ること」であり、別にミロカロスexやリキキリンexといった無効化ポケモンを倒さなくても、それ以外のポケモンを倒してサイドを取ってしまえば試合には勝てます。
ボスの指令で、無効化特性を持たないベンチポケモンを狙うのはその方法の1つですね。たとえば場を作るために用意されたベンチのシャリタツを呼び出して倒せば、相手の場の完成を遅延させつつ自分のサイドを進められる可能性があります。
また、分かりやすいのはヒンバスの撃破です。
ミロカロスexはとても強いですが、進化前のヒンバスはコイキングと同様、HP30の個体しか存在しません。ここは明確な弱点になっており、進化前に倒すこと自体はかなり容易です。
たとえばマシマシラの特性アドレナブレインだけでも倒せますし、ドラパルトexのファントムダイブであればまとめて2匹倒せます。
更に言えば、ミロカロスexに進化されてしまっても、30ダメージ与えてワザマシン デヴォリューションを使えば、やはり問題なく倒せます。サイドは1枚しか取れませんが、場からミロカロスexを一掃してしまえば、ネジキなきGHI環境では立て直しにターンを要しますからね。
ただし、重要なことが1点あり、それはミロカロスexの無効化特性はテラスタルポケモンのワザの効果にも及ぶ、ということです。
ドラパルトexのファントムダイブでヒンバスにダメカンを3個乗せて倒すことはできますが、ミロカロスexにダメカンを乗せることはできませんし、ミロカロスexはテラスタルのポケモンからのデヴォリューションによる退化も無効化します。
なので、誰がダメカンを乗せるのか、誰が退化させるのか等は、しっかり考えておく必要があります。マシマシラが自然に入るデッキなら、マシマシラに悪エネをつけてアドレナブレインを使いながらデヴォリューションも使わせるというのがスムーズかもしれませんね。
なお、ミロカロスex側もミストエネルギーを付けることでテラスタルのポケモン以外からのワザによるダメカン乗せや退化を防げるため、対策の対策がなされうる点には要注意です。
まとめ
・2025年1月でFのカードがスタンダードから落ちた影響で、VSTARやロストゾーン軸などの強いポケモンが減り、環境のテラスタル占有率が増えたことで、ミロカロスexを軸とする無効化デッキが環境で存在感を増しており、対策が必要となっている。
・ミロカロスexはテラスタルポケモンからのワザのダメージのみならず効果をも無効化してしまう特性持ちであり、またHP270・ワザも160ダメージと強く、生半可なサブアタッカーでは返り討ちにされてしまう点、脇を固めるリキキリンexやオーガポン いしずえのめんexの存在が突破を難しくしている。
・対策その1は、優秀なサブアタッカーの採用。ガチグマ アカツキex、オーガポン いしずえのめんexなどはミロカロスexの防御を貫けるし、カプ・コケコexやテツノイバラexは弱点を突いてミロカロスexを一撃で倒せる。140ダメージ出せる雷ポケモンの採用はピジョットex対策にもなる点で優れている。
・対策その2は、無効化ポケモン以外の撃破。対戦におけるサイドレースのプランニングとして、無効化特性を持たないベンチのポケモンを呼び出して倒していくのもありだし、HP30しかないヒンバスを倒すことを重視するのもあり。デヴォリューションによる退化の併用で攻略の道筋は増える。
……という感じです。
ちなみに、HP30対策特化であればホップのザシアンex、スイクン、ミミッキュexあたりが30ダメージを2匹にばら撒けて、特にホップのザシアンexは無色1エネなので、ホップ要素も鋼要素もないデッキからホップのザシアンexが飛び出してくるというパターンも……ありえるでしょうか？ 微妙ですね。
それでは、また。
