グノーシアがおすすめな理由【ゲーム】

 わたしが遊んだことのあるゲームを、独断と偏見によりオススメする感想記事です。
 本記事では「グノーシア」をご紹介します。
 アドベンチャーゲームの紹介という都合上、物語の冒頭の情報が少しありますので、ネタバレ厳禁な方は1時間ほどプレイしてから読むことをおすすめします。

グノーシアとは?

 人狼ゲームをテーマにしたアドベンチャーRPGです。公式には「SF人狼系シミュレーションアドベンチャーRPG」ですね。
 宇宙船の中で、人間に紛れて人間を消す「グノーシア」を話し合いの末に見つけ出してコールドスリープさせ、人間が全滅するまでにグノーシアを全員コールドスリープさせられれば勝ちです。
 2019年にPSVitaで発売され、2020年にニンテンドースイッチ、2022年にSteam、2023年にPS5・PS4などでも発売され、2024年にはアニメ化も発表された、大人気のゲームです。


魅力1. 上質なSFアドベンチャー

 物語の冒頭で明かされることですが、グノーシアはいわゆるループもののSFです。
 ループものというのは、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズのエンドレスエイトのような、同じ時間やシチュエーションを何度も繰り返す物語です。
 ……ただ、グノーシアの物語のどこが素晴らしいか?を語ることは、そっくりそのまま物語のネタバレになってしまいますので、説明しづらいところがありますね。

 なので、多くは語りませんが、個人的にはとても素敵な物語だと思いました。また、けっこうギャグテイストな部分も多かったりして、常に緊張感があるわけでもありません。緩急があって遊びやすく感じました。


 なお、物語の冒頭で主人公の性別を決めるのですが、「男」にすると女キャラとのイベントが一部恋愛風味?で、「女」にすると男キャラとのイベントが一部恋愛風味で見られます。「汎」という選択肢もありますが、これにするとどちらも恋愛風味ではなくなります。
 なので、「どのキャラとの恋愛イベントを見たいか」あたりから決めてみてもいいのかも、と思います。



魅力2. AI相手に人狼ゲームを体験できる

 人狼ゲームというのは、人に紛れた狼と人とが勝利を競うゲームです。Among Usなんかもその一種ですね。
 なお、わたしは人狼ゲームを遊んだことがありません(グノーシア以外で)。なので、あまり詳しくは語れませんが、知っている範囲で書いてみます。

 人狼ゲームでは、村の中に村人と狼がいます。狼は毎夜1人の村人を襲って消すことができますが、昼間は襲えません。なので、村の中で話し合いを行い、夜になる前に多数決で毎日1人を排除します。これを繰り返して狼が全滅したら村人の勝ち、狼の人数が村人の人数を超えたら狼の勝ちです。
 グノーシアでも、システム面でしっかりと人狼ゲームが再現されているようです。「吊る」が「コールドスリープ」になる等、世界観に合わせた味付けにはなっていますけれどね。

 「人狼ゲーム、わざわざ他の人と集まってプレイしたいってほどじゃないけど、一度どんなゲームなのか体験してみたいな」……という方にとっては、AIと人狼ゲームができるグノーシアは渡りに船といった感じのゲームではないでしょうか。
 わたしもそういう観点で楽しんでいた部分もあります。知らない人と遊びたいかというと特にそうは思わないのですが、人狼ゲーム自体には興味があって……という感じですね。

 なお、おそらくですが、人狼ゲームの定石みたいなものは完全には適用されていないと思います。
 「どう考えても論理破綻してるし、今回のルールからしても敵はこのキャラ以外ありえないでしょ」という状態でも、そのキャラが投票されないようなことがあるからです。わたしが気づかないだけで、似たようなことは他にもっとあったんじゃないかなと思います。
 まぁ、結果的に人狼ゲームをしているといっても、設定的には別に人狼ゲームのために集まった人たちじゃないですからね。人狼ゲームを知らない人もいれば、人狼ゲームのルールを理解できない人もいるわけで、定石通りに進まなくて当然ともいえるでしょう。ただ、ちゃんと定石通りに動いてくれないとイライラする、という方は少し引っかかるかもしれません。

 あと、そもそも基本ルールとして、人狼ゲームでは自分がやられても自陣営が勝てば勝利のようですが、グノーシアでは自分が最後まで生存することが勝利の前提条件なので、その辺もややゲーム性が異なるかと思います。



魅力3. キャラクターが個性的で魅力的

 グノーシアに登場するキャラクターたちは、それぞれが個性豊かで、かつ魅力的です。
 グノーシアでは、ループごとに誰が人間で誰がグノーシアかはランダムに変わります。
 なので、どんなキャラも敵になりえますし、どんなキャラも味方になりえます。人間としての味方、グノーシアとしての味方、あるいはいずれかの敵と、それぞれのシチュエーションがありますから、ある時は憎らしい敵として、ある時は頼れる仲間として、色んな立場で魅力を感じられる必要があると思います。

 そして、実際遊んでいる感覚として、それは実現されているように感じました。
 「このキャラ、いない方がよくない?」と思ったことは一度もありません。全員が魅力的であるがゆえに、物語もどんどん読み進めたくなりますし、キャラクターを愛でるゲームとしても秀逸だと思います。ちなみにわたしはラキオとセツが好きです。



人を選ぶ点1. フワッとした汎用会話が多め

 人狼ゲームを鮮烈かつ精緻な筆致でストーリーに落とし込んだビジュアルノベルを読みたい!……という方にとっては微妙なんじゃないかな?と思うことがあります。
 グノーシアの人狼ゲームパートは、運要素とステータスと選択肢によるバトルめいた様相を呈しています。RPGのコマンド式ターン制バトルみたいな感じですね。

 具体的に言うと、人狼ゲームの議論パートは「ところで君は疑わしいよ(根拠は言明されない)」「そんな……ひどい……」「いやこいつは大丈夫っしょ。そう言うお前こそどうなの」みたいな、フワッとした会話で終始進みます。
 舞台が宇宙船でジャンルがアドベンチャーなので、「こいつが制御室に入ろうとしていたのを見たんだ!」みたいな具体的な会話から犯人を類推するミステリーっぽい要素を期待される方もおられるかもしれませんが、そういう要素はほとんどありません。
 エンジニアやドクターといった役職の報告を基にした論理パズルの要素はあるんですが、それ以外の会話はだいたいフワッとしていて、何について議論しているのかは原則明かされません。

 ただ、その辺は何時間か遊べば「そりゃそうなるよね」と納得すると思います。
 グノーシアは何十回も人狼ゲームを繰り返しながら目的を達成する、という筋書きになっているので、その人狼ゲーム全ての議論にバリエーションを与えるのは難しいですし、仮に何パターンかあったところで結局読み飽きてスキップすることになりそうなので、それなら簡略化した方が合理的なのでしょう。
 ただ、「人狼ゲームをテーマに克明に描かれた小説が読みたい」くらいのテンションで始めると、そのあたりを肩透かしに感じる可能性は否めません。

 また、人狼ゲームに関して付言するなら、人によっては中だるみするかもしれません。
 人狼ゲームを繰り返しながら目的を達成するわけですが、目的を達成するまでには人狼ゲームを何十回と繰り返す必要がありますし、場合によっては何も進展のない回なんかもあったりします。RPGでダンジョンを進んでいる時に何もない行き止まりに辿り着いて引き返すみたいな感じです。
 ちなみに、わたしは若干中だるみしました。人狼ゲームがつまらないわけではなくて、「物語が気になるから早くそっちが見たいんだけど……」という感じでしたね。
 ただ、そんな長時間止まるわけではないですし、徐々に進展はするので、そこまで退屈というわけでもないかとは思います。あまり退屈に感じるようなら攻略情報を見てもいいかもしれませんね。


人を選ぶ点2. ちょっぴりホラー

 人に紛れて人を消す人類の敵、それがグノーシア。
 ……という設定からも少しホラー感があるかと思いますし、パッケージイラストからも少しホラー感が漂っているかとも思いますが、実際ちょっとしたホラー演出があります。
 急に怖い絵面が出る系統のびっくりホラー(ジャンプスケア)もちょっぴりあります。

 ホラーの度合いとしては、受け手によって個人差があるかと思うので一概には言えませんが、わたしはそこまで怖いとは感じませんでした。まぁホラーゲームではないですしね。8番出口の方が怖かったです。
 ただ、ホラー要素があるのは事実ですので、「怖いのは絶対ダメ、ちょっとしたホラーでも眠れなくなって日常生活に支障が出る」みたいな方にはおすすめできないかもしれません。


まとめ

・グノーシアはループもののSFアドベンチャーとして秀逸であり、読むゲームとして楽しめる。

・グノーシアは人狼ゲームを組み込んであり、人間同士で集まらなくてもAIを相手に人狼ゲームを体験できる。人狼ゲームを遊んでみたかった人に向いてるかも。

・キャラクターもみんな個性的で魅力的、それぞれの背景を知りたくなるし、物語自体もどんどん読み進めたくなる。

・人狼ゲーム部分はステータスと選択肢を用いたコマンド式バトルみたいになっており、汎用会話が多いため、ミステリー小説的な要素を期待していると肩透かしかも。論理破綻を見抜く等のパズル要素はある。

・ちょっぴりホラー要素があるので、怖いのが極端に苦手という人にはイマイチかも。



 ……という感じです。
 人狼ゲームに造詣が深いわけではないので、あまり詳しいことは書けませんが、逆に「人狼ゲームを知らなくても楽しめるよ」という点が伝われば幸いです。楽しいSFアドベンチャーでした。
 ただ、もし全編通して小説のような物語を求めているのであれば、それはちょっと空振りかもしれません。人狼ゲーム部分は曖昧な汎用会話が多いからですね。
 もっとも、それを考慮しても物語としてわたしは好きでしたし、ことさら人狼ゲームがやりたいと思っていなかったとしても楽しめるんじゃないかな、と思います。

 逆に、人狼ゲーム好きが高じてグノーシアを遊びたいと思った方が満足されているかどうかがわたしにはよく分かりませんが……
 わたしの解釈では、グノーシアにおいて「人狼ゲームに勝つこと」は手段であって目的ではないため、もし「最強AIと複雑高度なスーパー人狼ゲームをやりたい」という動機があるとしたら、ゲームの方向性とは少しズレていそうな印象は受けました。
 初めての「情報交換」から議論が始まるまでのくだりなんかは、まさにその象徴的なイベントのように感じたのですが……それはわたしが「SFアドベンチャー」としてグノーシアをプレイしていたからかもしれず、「人狼系シミュレーション」に軸足のある方はまた別の感想を抱かれるのかもしれませんね。


 それでは、また。


※本記事の画像は、プチデポット開発のゲーム「グノーシア」からの引用です。

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