管理人まどが遊んだゲームを、独断と偏見に基づいてご紹介する感想記事です。
本記事では「MTGアリーナ」をご紹介します。
なお、わたしはブルームバロウで始めたばかりの新参で、まだ半年も遊んでいません。
なので、老練な経験者の知見ではなく、新参の意見として、「MTG未経験者がいま始めるのはどうだろう?」という目線でのお話になります。半年前のわたし同様、MTGを始めてみたいと思っておられる方の参考になれば幸いです。
MTGアリーナとは
歴史あるTCG、マジック:ザ・ギャザリングのデジタル版です。スマホやタブレット、パソコンでプレイできます。
カードバトルのジャンルでは収益が世界で7位・日本で7位と、トップクラスではないものの、大人気のカードゲームです。国内だとシャドウバースより少し上くらいですね。
魅力1. 多様な戦術とマナによる制約

MTGの大きな魅力は、多様な戦略が認められているところだと思います。
たとえば、黒単ハンデスみたいなデッキは、わたしがいままで経験したTCGではあまりお目にかからないタイプのデッキでした。
ひたすらハンデス(手札破壊)して対応札を奪い、小粒なクリーチャーでビートダウンしたり、あるいは「山賊の才能」という置物でじわじわ削ったり……という感じの、ハンデス一本槍みたいなデッキです。
世界で大人気のハースストーンでは「積極的な勝ち筋を持たず消耗戦の末に勝つような受動的なコントロールデッキは不快感が強いのでNG」となっていて、初期はそういうデッキもあったんですが(ジャスティサー入りのウォリコンとか)、最近はコントロールでも明確な勝ち筋を搭載しないと勝ちにくくなっています。
一方で、MTGではアゾリウスコントロール等にそういう構築があって、ミレックスのトークンや噴水港の魚で勝つような気の長い構築も許容される下地があると思います。まぁ、いま環境的な立ち位置は微妙な気がしますが……
また、そういった戦略の多様性があっても、ゲームスピードがインフレしすぎてしまうと結局速いデッキ以外実用的でなかったりしますが、MTGにはマナの制約があるため、そこでゲームレンジを規定して速すぎる決着が起こらないような構造になっていると感じます。
まぁ、そうはいっても3キルが現実的な速攻デッキもあって、どうなの?と思うことはありますが、ゲームスピードのインフレってTCGによっては凄まじくて、後手1キルが現実的だったりしますから、そういう観点ではまだ3キルで踏みとどまってくれているな、と思っています。
魅力2. 相手の番にも動ける自由度

ポケモンカードやデュエル・マスターズは、基本的に相手の番には動きません。
まぁ、ポケモンカードにはかつてパワーキャンセラーのフーディンがいましたし、デュエル・マスターズにもシールドトリガーがありますが、それらを除けば相手の番は基本的に見ているだけです。
それもそれでメリハリがあっていいとは思うんですが、相手の番に動けると行動の選択肢が増えて面白いですし、相手がカードを使った時に「はいそれ打ち消し!」となかったことにできるのは楽しいです(やってる側は)。
やられる側は不快ではありますが、打ち消し呪文もマナを使う都合上、自分の番にマナを温存してあまり動かずターン終了してくるため、自分の動きを犠牲にしている部分がありますから、比較的納得感がある……かもしれません。
あとは打ち消しに限らず、相手の行動に割り込んで自分の行動をする場合、うまくいった時に「してやったり感」があって満足度が高いように思います(やる側は)。
「墓地からこの最強クリーチャーを召喚します!」「あっ、ならこの瞬速クリーチャーでそちらの墓地を全部追放します。対応は?」「…………」みたいな。
「やる側は」と書きましたが、相手の番にも使える呪文はどの色にもあるので、お互い様ということで理不尽感はさほどないように思います。
また、個人的な好みの問題なんですが、わたしは「これさえ決まれば絶対勝てるコンボ」みたいなのが、他のTCGだとあまり好きではありません。
そういうデッキが相手になった時点で、コンボ成立までに倒しきるか、コンボ成立されて負けるかの二択になってしまい、コントロールデッキによる消耗戦みたいな選択肢が消えてしまいがちなのですよね。コントロールで無理やりビートダウンしてあがきますが、まぁほぼほぼ無理、みたいな。
ただ、打ち消しやハンデスがあれば、相手のコンボのキーパーツを打ち消したり事前に取り除いたりすることで「コンボを成り立たなくして勝つ」という手が使えますから、その点だけでもMTGの自由度が与える恩恵は大きいと思います。
全知デッキの全知を◯人に口なしで消して投了をもらったり、強迫と否認で全知を出せないよう綺麗に動けたりすると、MTG楽しいなって思います。
自由度という点では遊戯王も似たようなことができるそうです。
わたしは遊戯王未プレイなのであまり語れることはありませんが、わたしが遊戯王ではなくMTGを選んだのは……色々理由があるんですが、1つ大きいのはスタンダードフォーマット(新しいカードしか使えないルール)があることでした。
カードプールが広すぎると知識面で古参に対する不利が大きすぎて、新参として加入したいという意志が削がれるので、カードプールはある程度制約されている方が始めやすいように思います。
また、カードプールが広いとそのぶんカード同士のシナジーも多くなるため、ゲームスピードやコンボの強さが野放図になりやすいようにも感じます。わたしは割とのんびり戦うビートダウンが環境の中心にいてほしいので、スタンダードフォーマットが性に合っている気がするのですよね。
魅力3. 対戦しやすく紙より安価
紙のMTGとの比較になりますが、MTGアリーナはオンラインで遊べるので対戦しやすく、紙より安くデッキが作れます。
対戦しやすいというのは、MTGアリーナというよりデジタルカードゲーム全般のメリットですが、スマホで通勤通学中やお昼休みに軽く遊べるのは大きな魅力だと思います。
また、デッキを組むのも紙より安上がりです。
MTGアリーナにはワイルドカードというシステムがあり、パックを開けていると「このレアリティの好きなカードと交換できるよ」という各レアリティの交換券がもらえるので、それを使ってカードを集められます。
1デッキ組むのにかかる値段は……PTCGLとかと比べると高い気はしますが、それでも紙よりは断然安いです。
tier上位のディミーアミッドレンジとか、紙でまとめて買おうとすると10万円近くかかりますが、MTGアリーナならそんなにかかりませんから。課金だけで組むとまぁ万単位にはなるでしょうけど、無課金でワイルドカードを集めて組むという手もありますからね。
あとこれもDCG全般の話ですが、デッキを組むこと自体が楽なんですよね。
TCGを触ったことのある方はお分かりかと思いますが、カードをスリーブに入れたり、汎用高額カードを複数のデッキで使う際にいちいち入れ替えたり、スリーブが汚れたら替えたりと、それも楽しいとはいえ手間なのは確かです。
その点、DCGなら同じカードを簡単に使い回せますし、スリーブにカードを入れていく必要もありません。なんなら対戦中もシャッフルが1秒で終わるので楽ちんです。
なお、デッキの組みやすさ関連ですが、MTGアリーナの日本語の検索機能はイマイチなので、そこだけはなんとかしてほしいなと思っています。
「否認」と入力しても引っかからず、「否(ひ)認(にん)」や「否()認()」なら引っかかります。
本場が英語圏ですから、日本語がある程度なおざりなのもやむなしでしょうか。とはいえイマイチなのは否(ひ)認(にん)しがたい事実かと思います。日本語非対応のPTCGLの検索機能の方が使いやすく感じました。
魅力4. 日本モチーフの世界観のカードがある
MTGは、色々な次元(世界)を渡り歩く物語であり、プレイヤーは次元(Planes)を渡り歩く者(Walker)である……という素敵な設定があります。
そして、そんな様々な次元の中でも「神河」という次元は、日本がモチーフになっています。
わたしは原神でも日本モチーフの国「稲妻」のキャラは優先的に集めていましたし、日本モチーフの世界やキャラがいるとちょっと嬉しくなってしまうところがありますので、魅力に挙げさせていただきます。
……まぁ、2024年8月で、神河をモチーフにした拡張はスタンダードレギュレーションから外れてしまったのですけどね。
とはいえ、神河出身のキャラクターが最近の拡張であるダスクモーンに登場したりしていますし、和風キャラ好きの琴線に触れる部分はあるかもしれません。
いまフィーチャーされているのは坊主頭の忍者こと漆月魁渡です。まぁ、放浪皇という女の子キャラもいますが、特に強いと言われていた4マナの「放浪皇」はスタン落ちしてしまい、現在は6マナの「永遠の放浪者」が残っています。いちおう、たまに白単トークンとかで採用を見るカードではあります。
漆月魁渡はしっかり強く、「悪夢滅ぼし、魁渡」はtier1デッキのディミーアミッドレンジに複数枚積まれていることが多い、環境の最前線で輝くスターです。よく見ますし使いますので、「Now I know your weakness♪」が頭に焼きついています。いい声と台詞ですが、個人的にプレインズウォーカーのCVはローカライズしてほしかったです。
人を選ぶ点1. 土地が事故るし高い
きょうび、カードのコストになるだけのカードというのは少ないです。
国内三大TCGといえば遊戯王、デュエル・マスターズ、ポケモンカードだと思いますが、このうちほぼコスト専用のカードがあるのはポケモンカードだけです。
マナを出すための専用カードがあると、その引きによって揺らぐ部分が大きいというのがデメリットになります。
すなわち、「土地を全然引けなくて負けた」「土地しか引かなくて負けた」ですね。前者はマナスクリュー、後者はマナフラッドと呼ばれています。
ポケモンカードも似たようなことはあるんですが、ポケモンカードはドローとサーチがべらぼうに強いため、デッキ60枚に占めるエネルギーカードが5~10枚程度のことが珍しくなく、エネルギーばかり引いて困ることもエネルギーを全く引けなくて苦しむことも少ないです。
また、ポケモンカードでエネルギーを要求されるのはポケモンのワザを使う時とポケモンを逃がす時だけなので、エネルギーがなくてもやれることは多いです。
一方、MTGは土地以外のほとんどのカードの使用に土地(から出るマナ)が必要になるため、土地が並ばないとできることが大きく限られます。
それゆえに土地が60枚中25枚前後入っているんですが、それでも引けないと悲惨ですし、逆に引きすぎても(土地以外のカードをろくに引けなくても)悲惨になります。
ミシュラランドや諜報ランド・噴水港といった、マナを出す以外の役割も持つ土地が、いわゆる土地事故のケアにはなりえるのですが、まぁそこそこの頻度で「事故のせいで試合にならない」みたいな展開があります。ポケモンカード等と比べても多いと思います。
2本先取のBO3が一般的なのは、そういう事故負けの理不尽さを軽減する目的もあるような気がするのですが、それはそれで「1戦1戦を軽く遊びづらい」というのがデメリットでもあると思います。
更に、強い2色土地の多くはレアリティが「レア」であり、入手しづらいという大きなデメリットがあります。
たとえば、わたしが最近よく使っているディミーアコントロールには土地が26枚入っていますが、うちレア18枚・神話レア2枚となっており、土地だけで20枚も高レアリティのカードがあります。
まぁ、紙のMTGと違って魂の洞窟1枚に8000円も出す必要はないのですが、それでも土地だけでレア・ワイルドカードを大量に要求することが多様なデッキ構築の障害になっていることは間違いないかと思います。
「俺は赤白しか使わねえ!」みたいな人ならいいんですが、色んなデッキで遊びたい場合はけっこうつらいところです。2色土地は13ランドみたいな低レアのものもあるんですが、そのぶん弱いですからね。ポケカの特殊エネルギーみたいに、2色土地は全部アンコモン以下だとどれだけありがたかったか、と思うことはあります。
なお、土地について個人的に魅力的だと思う点もあって、それは「土地から魔力を得る」という設定と、土地カード集めが風景画の収集みたいでどことなく文化的な気分になるということですね。
その点、ポケモンカードのエネルギーは原作に存在しないものなので、どうしても違和感があります。慣れますけど、冷静に考えたら「エネルギーカードって何?」となりますしね。
人を選ぶ点2. 速攻デッキが強い
これは環境次第だと思いますし、若干私怨が入っている気がなくもないですが……
今日のMTGスタンダードはアグロ(速攻デッキ)が強いです。
赤系のアグロデッキが非常に強く、普通に3ターンで決着することがあります。アグロに先攻を取られると、2マナのカードを1枚使っただけでゲーム終了みたいな展開が普通にあり、「さすが天下のMTGはんは奥深くておもろいわぁ」と感嘆してしまいます。
アグロの隆盛はいつか終わるのでしょうけれど、MTGが多様な戦略を認めている以上、不快に感じるデッキが環境を支配することも少なからずあるかと思います。
たとえばわたしが大好きなコントロールデッキも、打ち消しと除去でやることなすこと否定されて不快!と思われる方が少なからずいるでしょうし、ハンデスデッキに手札を頻繁に覗かれるのが嫌という方も少なくないのではと思います。
まぁ、そこは自由の功罪ですし、自分の構築で相手も不快になっているやもしれず、お互い様ということで……いかがでしょうか。
人を選ぶ点3. 絵柄
MTGの絵柄は西洋のセンスなので、平均的な日本人の感性には合わないケースがありえます。まぁ、いわゆるバタ臭い絵柄、というものですね。
かわいいカードやかっこいいカードが使えるというのは、直接ゲーム性には関与せずともモチベーションに大きく関わりますから、絵柄が苦手だとしたらそれはけっこうなマイナスポイントだと思います。
また、虫系の表現も比較的厳しめだと思います。
スタンダードフォーマットではなかったと思いますが、ランクマッチではないランダム構築系イベントを遊んだ時、「無数のゴ◯◯◯(閲覧注意)」をはじめとする大量の虫クリーチャーが入った不快極まるデッキと当たり、「えぇ……」となったことがありました。
個人的には遊戯王で「増殖するG」という、不快系の虫を示唆する名前とイラストのカードが多用されるのもぞっとしないのですが、「無数のゴ◯◯◯」は火の玉ストレートすぎて格が違うなと感じましたね。まぁ、ポケモンカードにもフェローチェはいましたが、デフォルメきいてましたし……
なお、わたしはMTGには魅力的なイラストのカードもたくさんあると思います。
参考までに、スタンダードで使われているカードで、わたしの好きなイラストのものを挙げると……
心火の英雄は、かわいいネズミのクリーチャーで、しかも強いです。アグロデッキで多用されている嫌われ者ではあるものの、どうせよく見るクリーチャーなら醜いよりかわいい方がいいですよね。
◯人に口なしは、全体除去の呪文です。背中に何やら繋がっていて少し不気味な感じはありますが、植物っぽいイラストや全体の色調も含めて、好きなイラストです。相手のキーカードを引っこ抜くのが気持ちいいです。
熟慮は、ドロー呪文です。日本人イラストレーターの描いたバージョンがあり、スキンを買うことで使えるようになります。イラストとカード名の関連性が不明ですが、日本風のイラストのカードが使いたい!という方にはこんな選択肢もあります。
アダーカー荒原は……土地です。青と白の2色土地ですが、イラストも青と白で美しく描かれており、大好きです。他に青白土地だと放棄されたキャンプ地も好きなんですが、使われているのはあまり見ないですね。
平地(ニクス土地)は、土地カードではあるのですが、風景画ではなく属性のシンボルマークが描かれており、どことなくポケモンカードのエネルギーめいた風合いのイラストです。MTGといえば土地カードが風景画なのが素敵、と思っていましたが、これはこれでポケカみたいでいいと思います。
まとめ
・MTGは多様な戦略があり、マナの概念があることでゲームスピードのインフレがある程度抑制されていて、色々な戦い方ができるのが楽しい。
・相手のターンにできることの多さはポケカやデュエマにない魅力で、そこにもマナの制約があるため野放図になりにくくケアもある程度できるため、対戦に対話が生まれやすい。
・紙のMTGは高額だけどMTGアリーナはそこまでじゃないし、デジタルなのでデッキも組みやすく対戦相手も見つけやすい。BO1ならスキマ時間でも遊びやすい。
・土地が全然引けなかったり土地以外が全然引けなかったりと、土地カードが事故を誘発しがち。また、強い土地は高レアリティが多く、デッキ構築の際に土地がネックになる。
・2025年1月現在、速攻デッキが強く、何もできずに負ける試合が結構ある。速攻に限らず、戦略の多様性があるために不快デッキの種類も多い。
・絵柄が日本人受けしにくそう。グロ系、虫系のカードイラストも少なくない。
……という感じです。
ちなみに、MTGには色々フォーマットがありますが、本記事はスタンダード前提で考えていて、わたしもスタンダードしか遊んでいません。
MTGアリーナで一番人の多いフォーマットですし、カードプールが狭いのでカードを覚えやすいですし、紙のMTGの大会のリストを真似して遊んだりもできますから、とりあえずスタンダードから始めていいように思います。
なお、無課金でガチガチのデッキを組めるまではそこそこ時間がかかるかと思います。
ジャンプインなど、カード資産がなくても遊べるモードで多少遊んでみて、面白いと思ったら課金してガチデッキを1つ作り、それを使ってランクマッチをしたりクエストをこなしたりしつつカードを集めていく……というのが個人的におすすめです。わたしはそうしました。
「青か白のカードをn回使え」系クエストが最初のうちは厄介で、特定の1色しかデッキを持っていない場合、全10通りの組み合わせのうち4通り(40%)しかカバーできません。
2色あれば7通り(70%)カバーでき、リロールでまたハズレを引く確率が低くなりますので、2色ぶんのデッキがあればクエスト消化ではあまり困らないかと思います。
手持ちのデッキで消化が難しい間は、ジャンプインやスターターデッキ対戦で消化するのもありかと思います。赤単アグロしか持ってなかった頃、わたしはよくジャンプインでクエスト消化してました。
MTGアリーナ、始めてみませんか?
わたしは最近、ランクマッチのプラチナやダイヤモンドでクエスト消化がてら青黒系のデッキを使っていることが多いです。当たった時はお手柔らかにお願いします。
それでは、また。
※本記事の画像は、Wizards of the Coastのゲーム「MAGIC: THE GATHERING ARENA」からの引用です。